■1999年12月16日 週刊トゥデイ


カリスマの放つ黒いオーラ。

「リリイを体験しちゃうと、もう他の音楽なんてノイズにしか聴こえない」あるファンはそう答える。最近若者の間で人気のアーティスト、リリイ・シュシュ。その特異な世界に引きずり込まれたファンたちの間で、最近不吉な事件が続いている。

12月8日、リリイ・シュシュのコンサートが行われていた渋谷キャトルでファンたちが将棋倒しになり、長野県長野市立第一長野中学二年星野修介くん(15歳)が亡くなった。彼の背中からは刺殺痕傷が見つかり、渋谷署は殺人事件として捜査を開始した。7月には彼女の熱狂的なファンがニューアルバムの出来に抗議の自殺を謀った。遺書には「エーテル、エーテル、エーテル。マスコミに汚されたリリイ」という謎めいた言葉が遺されていた。

「エーテル」とは、リリイファンの間では「オーラ」の代名詞として使われている。いくつかの音楽専門誌のインタビュー中にリリイ・シュシュ本人も頻繁に多用している言葉である。自殺の直後、スタッフがリリイの家に侵入し、暴行未遂事件を起こしてもいる。そして次は殺人事件。彼女の独特なオーラに魅了されたファンやスタッフは時に自殺し、狂い、人を殺す。まるでハーメルンの笛吹き男を思わせる話だが、そんなカリスマの声にはどんな魔力が秘められているのだろうか。